第113章 佐藤直樹を叱る(1)

「何のこと?詩織のプレゼントのことを言ってるの?」佐藤直樹は佐藤正志を見つめ、目に疑問の色を浮かべた。

「そうだ」佐藤正志はまさにそのことを話させたかったのだ。

「さっき玄関先で話したじゃないか?」佐藤直樹は理解できない様子だった。

話すべきことは全て話したし、兄もあの紙袋を見たはずだ。

「今、両親の前でもう一度話してほしい」佐藤正志は傍らに立ち、冷たい眼差しで、無表情な顔をしていた。

佐藤直樹は一瞬躊躇してから、佐藤のパパとママに向かって言った。「パパ、ママ、さっき僕の家の玄関先の茂みの中で詩織が用意したプレゼントを見つけたんだ。袋は同じで、中身もセーターとマフラーだった。詩織は嘘をついていなかった。ただあの日、安田おばさんが持ち込んだ袋が自分のものじゃなかっただけなんだ」