第116章 アイドルグループと遭遇

菊地秋次と佐藤和音は落ち着いて車から降りた。

そして隣のアパートへと向かった。

菊地秋次が佐藤和音のために用意した人肉サンドバッグはここにいるようだ。

心拍が落ち着いてきた上杉望は深いため息をつき、覚悟を決めて二人の後を追った。

心の中で誓った:後で必ずこの二人に宗師レベルまで引き上げてもらおう!傷ついた心を慰めるために!

佐藤和音たちがアパートに向かっている時、隣のホテルの入り口は非常に賑わっていた。大勢の人々がホテルの入り口に群がっていた。

みんなスマートフォンやカメラを手に持ち、フラッシュが絶え間なく光っていた。

遠くからでもその人々の熱気が伝わってきた。

ホテルから警備員に守られた男性グループが出てきた。おしゃれな服装で、ルックスも良く、芸能人のような雰囲気だった。

佐藤和音は群衆の方向を見つめ、ある人影を見つけると足を止めた。

上杉望はそれを見て、興味を持ち、佐藤和音の視線の先を追った。

上杉望は一目見て言った:「あれは男性アイドルグループのファンミーティングだね。グループ名が何だったかな、急に思い出せないけど。」

上杉望は男性アイドルグループのファンではないので、グループ名は右から左へ流れていくだけで、全く記憶に残らなかった。

佐藤和音が見つめていたのは、ホテルから出てきた男性グループの中の一人だった。

少し距離があり、顔ははっきりとは見えなかったが、佐藤和音にはその中の一人が佐藤明人—佐藤隼人の実の兄で、叔父の佐藤博と山田燕の長男—だとわかった。

山田燕は女優出身で、長男の佐藤明人も彼女の芸能の才能を受け継ぎ、さらに素晴らしい歌声の持ち主だった。

成人後、芸能界で活動したいと考えたが、山田燕の強い反対に遭った。

山田燕は長男に会社を継がせ、佐藤正志と競わせたかった。

しかし佐藤明人の志はそこになく、俳優や歌手になることに固執した。

山田燕は佐藤明人が芸能界に入るなら、一切の支援をしないと宣言した。

そこで佐藤明人は自分で芸能事務所と契約し、ゼロからスタート。佐藤家と山田燕の援助なしで、自力で今日まで来た。

2年前にオーディション番組に出演して人気を得て、最終的に男性アイドルグループのメンバーとしてデビューした。

この2年間、グループは人気絶頂で、最近は全国ツアーコンサートを開催している。