第117章 人肉サンドバッグ(1)

「えっ?」

上杉望は、さっきまで菊地秋次がアイドルグループを目が離せないほど見つめていたのに、なぜ認めないのだろうと思った。

上杉望が少し考え込んでいると、気がついた時には佐藤和音と菊地秋次は既に先に行ってしまっていた。

「おい……二人とも……また置いていくなよ……少しは情けをかけてくれよ……」

ちょっとぼーっとしていただけなのに、この二人は情け容赦なく彼を置き去りにしたのだ!

ここは森村晃のアパートがある団地だ。

今夜、森村晃は菊地秋次が佐藤和音のために用意した生贄だった。

三人が森村晃の家の前に着くと、ドアの前では菊地秋次のボディーガードが既に待っていた。

彼らが来るのを見て、すぐにドアを開け、中にいる森村晃は抵抗する余地もなかった。

菊地秋次たちが入ってくるのを見て、森村晃は必死に笑顔を作り、頭を下げた。