上杉望は、ゲームは大切だが、和音様の気持ちの方がもっと大切だと言った!
【大丈夫よ。】佐藤和音が返信した。
【でも秋次おじいさんが、気晴らしにドライブに連れて行きたいって。人間サンドバッグも用意したって言ってたよ。】
上杉望は菊地秋次の言葉をそのまま佐藤和音に伝えた。和音さんが人間サンドバッグを殴りに行くはずがないと思っていた。
想像するだけでもその過程があまりにも残虐で、和音さんには似合わないと感じた。
【いいわ、行く。】
佐藤和音はすぐに返信し、上杉望の提案を受け入れた。
【えっ?】
上杉望は一瞬で手のひらを返された。和音様がなぜ承諾したの?これは彼の予想と違う!
【行きたい。】佐藤和音はもう一度確認した。
上杉望は佐藤和音からのメッセージを見て、近くにいる菊地秋次の方を見た。
なぜまた自分の予想が外れたんだ?なぜまた秋次おじいさんが当たってるんだ?
【わかった、わかったよ...ちょっと待っててね、すぐに迎えに行くから。】
上杉望は返信した後、菊地秋次に言った:「秋次おじいさん、和音様が出かけることを承諾しました。」
「ああ。」菊地秋次は返事をして、立ち上がってジャケットを着た。
菊地秋次は車を運転し、隣家の佐藤和音を迎えに行く任務は相変わらず上杉望の役目だった。
上杉望は鼻をこすりながら、今回和音ちゃんを連れ出すことが佐藤おばあさんにバレないことを願った。
もし佐藤おばあさんに、和音ちゃんを自分の家でゲームをするという名目で外に連れ出したことがバレたら、ひどい目に遭うだろうと上杉望は思った。
上杉望は隣家に行き、佐藤おばあさんに事情を説明して、無事に佐藤和音を迎えることができた。
上杉家の玄関に戻ると、菊地秋次が車で待っているのが見えた。
この車は佐藤和音が先日見たことがあり、その時は緑色だった。
しかし今は黄色に変わっていた。
「乗れ。」運転席に座っている菊地秋次が佐藤和音に言った。
佐藤和音は助手席に座った。
シートベルトを締めると、菊地秋次は発進した。
アクセルを踏むと、車は猛スピードで走り出した。
「うわっ!」
上杉望が反応する間もなく、菊地秋次は佐藤和音を連れて走り去った。
「俺の車がまだ出てないのに!」
上杉望は落ち込んで、急いで車庫に戻って車を出した。