奥野実里は佐藤和音に言った。「和音さん、心配しないで。今度から車に小さな踏み台を置いておくから、次回はこんなに苦労しなくて済むわ。踏み台がなかったら、藤田を地面に這わせて踏み台代わりにしてあげるわよ!」
佐藤和音は少し恥ずかしそうにした。確かに、彼女の身長は問題だった……
最近は一生懸命食事を摂り、ストレッチもしているのだが、まだ少し背が伸びるかどうか……
車が研究所の入り口に着いた時、入ろうとしたところで、道の真ん中に人が立っていて、奥野実里の車を遮っていた。
このような状況に奥野実里は慣れっこだった。
忠告を聞かない人がいつもいて、ウェブサイトで資料を提出するだけでは満足せず、わざわざ研究所の入り口まで来て待ち伏せするのだ。
このような人々に対して、研究所は感情的には理解を示していた。結局は大切な人の命がかかっているのだから。