第119章 手配済み

実は森村晃は佐藤和音が再び同じことをするのではないかと心配する必要はなかった。

佐藤和音は言った通り、一度だけ殴ると約束したのだから、本当に一度だけだった。

ただ今、佐藤和音と菊地秋次はまだソファーに座ったままで、森村晃の真摯な謝罪を聞きたがっていた。

そのとき、上杉望の携帯が一度鳴った。

携帯画面の通知を見て、上杉望の心臓が一瞬止まりそうになった。

東京からのメッセージだった。

上杉望は慎重にメッセージを開いた。

案の定、菊地おじいさんが秋次おじいさんのお見合い相手の手配について尋ねてきたのだ。

上杉望は何度も曖昧な返事をしてきた。知っていること、手配中だということばかり言い続けていた。

そんな言葉ばかり続けていては、おじいさんが不機嫌になるのは当然だった。

今回メッセージを見て、上杉望は何かを思いついた。