佐藤和音は点数が取れないと思って適当に書いた作文の部分に、先生が意外にも二十点の「努力点」をつけた。
一方、彼女が正解だと思った読解問題は、全て零点だった。
大井心はちょうど佐藤和音の読解問題の解答を見た。
佐藤和音の解答を見た瞬間、大井心の表情が凍りついた。
問題:本文の最後から二番目の段落で、主人公の目が赤くなったのはなぜですか?
佐藤和音の解答:結膜と強膜の血管が刺激を受けて拡張し、うっ血や出血が起きると、白目が赤くなることがあります。
問題:「傘を握る指先が白くなり、彼は秋の気配をより強く感じた」というこの一文をどう解釈しますか?
佐藤和音の解答:血液循環が悪くなると手足の末端部分の血流が不足します。特別な治療は必要ありませんが、体を温かく保ち、激しい運動は避けてください。
大井心は目を見開いたまま呆然としていた。
佐藤和音の思考回路は、とても独特だった!
学習委員の山崎彩花が近づいてきて、大井心に言った:「心、本当に家賃取りに帰らないとね。」
大井心は今回も九教科中六教科が不合格だった。
大井心は鼻をすすった:「彩花さん、もうからかわないでください。今日も家に帰ったら母からの重い母性愛を受けることになるんです。長江の水は私の涙、この世の塵は私の罪です。」
山崎彩花は大井心を放っておいて、今度は佐藤和音に向かって言った:「佐藤和音さん、今回は大きな進歩が見られました。これからも頑張って、次回は良好ラインを目指しましょう。ノートが必要な時はいつでも言ってください。」
今回の月例テストで、佐藤和音は全科目合格し、最初の月例テストと比べて明らかな進歩を見せ、高校一年八組の落第組から正式に脱出した。
山崎彩花はまだ学業優等生らしい厳しい表情を保ち、佐藤和音への態度は彼女の成績次第だった。
学校の掲示板で話題になっているような騒がしい出来事については、山崎彩花は全く気にしたことがなく、それは彼女の佐藤和音に対する態度にも影響しなかった。
大井心はまた元気を取り戻し、「彩花さん、私もノートが欲しいです!和音も合格点を取れたんだから、私も何とか合格点を取らないと。私一人を落第組に置き去りにして、永遠に這い上がれなくするなんて、そんな仕打ちはひどすぎます!」