第148章 隼人の見舞い(1)

藤田安広、奥野実里、小田百蔵は専門的な問題について話し合いを終えて、佐藤和音の病室に戻った。

部屋に入ると、二人の男性が増えていることに気づいた。

ルックスで言えば、ソファーに慵懶な姿勢で座っている男性は、大スター佐藤明人に引けを取らなかった。

しかし奥野実里の視線は佐藤明人にしか向けられなかった。

身だしなみを整えた佐藤明人は、ポスターの中よりもさらにかっこよく見えた。

アイドルが目の前にいて、奥野実里は興奮を隠しきれず、笑顔が止まらなかった。

「恵子姉、チャンスだよ、写真、写真!」と藤田安広は奥野実里の耳元で促した。

乙女心のない恵子姉は怖い;乙女心のある恵子姉はもっと怖い。

反応が一拍遅れていた。

「そうだ!写真!」

奥野実里は急いで佐藤明人の元へ行き、一緒に写真を撮った。今回佐藤明人は断らず、奥野実里に良く協力してくれた。