第147章 秋次おじいさんのお見舞い(2)

菊地秋次の言葉には、他人の不幸を喜ぶような響きがあった。

上杉望は心の中で思った。なるほど、秋次おじいさんが和音様に会いに急いできたのは、前回和音様が肉を食べさせてくれなかった仕返しのためか。

「今も食べられませんよ」と佐藤和音が答えた。

「俺が食べたいと思えば、お前に止められる筋合いはない」

「絶対に食べちゃダメです」佐藤和音は強い口調で言ったが、声は柔らかく、全く威圧感がなかった。

病気なのに医者の忠告を聞かないのは、自殺行為と変わらない。

菊地秋次のような状態では、担当医を怒り死にさせかねない。

実際、原作の菊地秋次もまた、自分の命を軽んじる厄介な存在だった。

「自分の体も管理できないくせに、俺のことまで管理しようとするのか?」

傍で聞いていた上杉望は、今日の菊地秋次の佐藤和音に対する態度が、いつもとは少し違うように感じた。