第151章 隼人、動画を発見(2)

「お母さん、兄さんも言ってたじゃない。会社の経営に関与しなくても大丈夫だって。私たちは株式と配当金をもらえばいいんだよ」

佐藤隼人は山田燕の意見に反論し、事態が彼女の考えているほど悪くないことを証明しようとした。

「甘いわよ。本当にそうなった時に、佐藤家で私たちの居場所があると思ってるの?」山田燕にはそんな話は全く耳に入らなかった。

「お母さん、そんなに悪く考えないで……」

「私が悪く考えすぎ?」山田燕は突然笑い出し、笑いながら目から涙を流した:

「私が八歳の時、父は工事現場で亡くなったの。現場からは一銭も補償がなくて、母は毎日お金を数えながら生活していた。今月を乗り切っても来月どうやって過ごすか分からない。さらに大家から追い出されるかもしれない危険もあった」

「その後、母は私という重荷を抱えたまま、離婚した男と再婚したわ。生活は少し楽になったけど、その男は酒を飲むと私たちを殴るの。私は毎日びくびくしながら、細心の注意を払って、その男の機嫌を伺いながら生活していた。何か間違ったことをして殴られるのが怖かった。それ以上に、家から追い出されて路頭に迷うのが怖かった」

「私には良い生まれがないことも、多くの人が私を見下していることも分かっているわ。佐藤家に嫁いでからも、私は慎重に生きてきた。義父母の機嫌を損ねることが怖くて、この家とあなたのお父さんを失うのが怖かった」

「今の私がしていることは何のため?他人の顔色を伺いながら生きることから逃れたいだけ!自信を持って生きていきたいだけなの!」

山田燕は叫びながら、顔中涙でぐしゃぐしゃになっていた。

佐藤隼人はその場に立ち尽くし、どう応えればいいのか分からなかった。

母の泣き声は、まるで剣が胸を刺すようだった。

佐藤隼人は人生で初めて崩壊の危機に直面していた。

山田燕は声を張り上げ続けた:「行きなさい!そのビデオを叔父さんや従兄弟に見せに行きなさい!そして彼らがそれをおじいちゃんおばあちゃんの前に持って行って、私を家から追い出させればいい!」

「そんなことない、そんなことしない……」佐藤隼人は必死に首を振った。

「おじいちゃんとおばあちゃんがそうしないって確信が持てるの?」

佐藤隼人には確信が持てなかった。