「和音、お前……どうしたんだ?」佐藤隼人は声を絞り出すように言った。
「動画」と佐藤和音は言った。
「何?」
「あの動画、私が持ってる。お兄ちゃんは、悲しまなくていい」
「お前……その動画のことを……お前が……」
佐藤隼人は自分の耳を疑った。昨夜見た動画を和音ちゃんが持っているだって?
彼女はもうその証拠動画を持っているのか?
しかも和音ちゃんは自分が動画を見たことを知っているのか?
「お前……俺が動画を見たことも知ってるのか?」
「うん」佐藤和音は頷いた。
「ごめん……」佐藤隼人の目が赤くなった。「俺はお前を守れなかった……お兄ちゃんなんて資格ないよ」
「違う」と佐藤和音は言った。
佐藤隼人は俯いた。「和音、俺のこと恨んでるだろ。真実を知って、でも隠すことを選んだ。その決断をした時点で、もう俺はお前の兄として相応しくない」