第155章 心配いらない、私が処理する(3)

「和音、お前……どうしたんだ?」佐藤隼人は声を絞り出すように言った。

「動画」と佐藤和音は言った。

「何?」

「あの動画、私が持ってる。お兄ちゃんは、悲しまなくていい」

「お前……その動画のことを……お前が……」

佐藤隼人は自分の耳を疑った。昨夜見た動画を和音ちゃんが持っているだって?

彼女はもうその証拠動画を持っているのか?

しかも和音ちゃんは自分が動画を見たことを知っているのか?

「お前……俺が動画を見たことも知ってるのか?」

「うん」佐藤和音は頷いた。

「ごめん……」佐藤隼人の目が赤くなった。「俺はお前を守れなかった……お兄ちゃんなんて資格ないよ」

「違う」と佐藤和音は言った。

佐藤隼人は俯いた。「和音、俺のこと恨んでるだろ。真実を知って、でも隠すことを選んだ。その決断をした時点で、もう俺はお前の兄として相応しくない」