第176章 佐藤和音も申し込んだ

「高校の化学コンクール?賞金はいくらぐらいなの?」

原詩織は高校の化学コンクールに参加したことがあり、市の賞も獲得したことがあった。

「今回のコンクールの賞金は特別に高いんです。すごい機関が主催しているらしいんです。普通のコンクールの賞金よりずっと高いんですよ!一位は20万元、二位は10万元、三位は6万元、四位から十位までは3万元だそうです。」

この賞金は本当に魅力的だった。

これまで原詩織が参加したコンクールの賞金額は、これより低かった。

彼女は上位三位を狙うつもりはなく、四位から十位に入って3万元を獲得できれば、家族の当面の困難を解決できると考えていた。

「秋田さん、URLを送ってください。申し込みたいです。」

原詩織はこれが良い方法だと思った。結局、人からお金を借りたら返さなければならないが、賞金を勝ち取れば自分のものになるのだから。

原詩織との電話を終えた後、秋田緑は突然あることを思いついた。

佐藤和音も申し込ませてみようか?

別に他意はない、ただ佐藤和音に恥をかかせたいだけだ。

結果はオンラインで公表されるらしく、佐藤和音が試験を受けようが受けまいが、彼女の成績は掲載されることになる。

その時、原詩織の名前が上位にあって、佐藤和音が最下位にいれば、それを見るだけでも気分がいいだろう。

秋田緑は今では表立って佐藤和音に嫌がらせをする勇気はないが、佐藤和音を不快にさせる機会があれば、それを逃すつもりはなかった。

そこで秋田緑はウェブページを開き、申込フォームに佐藤和音の情報を入力した。

父のパソコンから佐藤和音の個人情報を調べることができ、それを使ってこの化学コンクールの申込用紙を埋めるのにちょうど良かった。

申し込みを終えて、秋田緑はパソコンの画面を見ながら満足げだった。

佐藤和音が参加者リストに自分の名前があるのを見つけたら、どんな表情をするだろうか。

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一週間余り経って、佐藤和音は学校に戻った。

教室に入るなり、全員が奇妙な表情で彼女を見つめた。

佐藤和音は理解できなかったが、いつも通り自分の席に向かった。

大井心はすぐに近寄ってきて、小声で佐藤和音に話しかけた:

「和音、どうしてあの化学コンクールに申し込んだの?」

「コン、クール?」