佐藤おじいさんと奥様は静かで、独特な雰囲気を醸し出していた。
佐藤正志は脇に置かれ、普段は冷たく厳しい目つきで、時々無意識に妹と従弟の方を見やっていた。
鈴宮玉城が彼のこの様子を見たら、きっと何日も密かに喜んでいただろう。
食事が終わると、佐藤和音は相変わらず佐藤正志に気付かず、仕事一筋の彼は直接書斎へ向かった。
佐藤和音は何も感じなかった。以前からこうだったのだ。食事が終われば、それぞれが自分の用事をする。
佐藤隼人も一緒に行った。彼は自分の宿題を全部持ってきていた。
兄妹二人は書斎で、それぞれの用事をしに行った。
本来なら存在感の強いはずの佐藤正志は、二人に完全に無視されていた。
奥様も長男の存在に気付かないかのように、古い友人と電話でおしゃべりをしに行った。