「あの悪質な兄を階段から突き落とした佐藤和音じゃないの?どうしたの?また何か企んでるの?しばらく彼女の噂は収まってたのに、また存在感を示したがってるの?」
「上の人そんなこと言わないで。前回の告白事件で散々な目に遭ったの忘れないで。」
「上の人何考えてるの?告白事件で恥をかいたのは事実だけど、兄を突き落とした件は絶対に無実を証明できないわ。投稿を削除させるだけで、削除すれば済むと思ってるの?ネットユーザーの記憶が3日しかないと思ってるの?」
佐藤和音のあの事件からしばらく時間が経ち、元のスレッドは全て削除されたが、まだその事件を覚えている人がいた。
今、佐藤和音の名前が再び人々の目に触れることになり、過去の出来事も掘り起こされることになった。
「話を逸らさないでください。ここは化学コンテストのスレッドです。化学コンテストの内容だけを議論しましょう。他の話題を議論したい方は別スレッドを立ててください。」
この発言は多くの学生から支持を得て、その後の話題は再び化学コンテストの内容に戻った。
「じゃあ化学コンテストの話をしましょう。佐藤和音の成績は皆知ってるでしょう。今回どんな恥をかくか見物ですね。」
「同意。栄光高校の恥さらしを見せてもらいましょう。」
「理解できないんだけど、佐藤和音って何がしたいの?存在感欲しいの?必要なの?こんな存在感求めて何になるの?それとも虐められたいの?化学コンテストの問題はかなり難しいって聞いたけど。」
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生徒指導主任室で、森田先生は名簿を見ながら憂鬱そうだった。
この佐藤和音は何を考えているんだ?
わざわざこんなコンテストに参加する必要があるのか?
学校の面目を潰しに行くようなものじゃないか?
森田先生は評判を最も気にする人だった。佐藤和音が参加しても大きな問題にはならないが、心の中に棘が刺さったような不快感が残っていた。
あれこれ考えた末、生徒指導主任は1年8組に佐藤和音を訪ねることにした。
まだ早く、朝読書も始まっていない時間に、生徒指導主任が現れると、クラス全体が静まり返った。
生徒指導主任は真っ直ぐに佐藤和音の机の前まで歩いていった:
「佐藤さん、今回の化学コンテストに申し込んだそうですね?」
生徒指導主任の口調は決して友好的ではなかった。
「はい。」佐藤和音は冷静に答えた。