第205章 上杉望の救助要請

「いいえ、とんでもございません。」千葉清司は笑いながら答えた。「チャリティーイベントは妻が企画しているんです。妻は慈善事業に熱心でして、夫である私も当然支援しなければなりません。もし皆様が妻が主催する小さなチャリティーディナーにご出席いただけるなら、私どもの光栄でございます。もちろん、ご都合が悪ければ、それも構いません。」

菊地秋次はすぐには承諾も拒否もせず、佐藤和音の方を振り向いた。

佐藤和音は小声で答えた。「行きたくないです。」

声は小さかったものの、拒否の意思は明確だった。

佐藤和音は単に人の好意を断るのが申し訳なく感じていただけだった。

佐藤和音にとって、千葉清司が彼女のキャリアプランを変えるよう求めることは私事であり、躊躇なく断ることができた。

しかしディナーへの招待は好意であり、断るのが申し訳なく感じられた。

だが佐藤和音は週末は本当に時間がなく、この数日は食事と睡眠以外は残業に追われていた。

「じゃあ、行かないことにしましょう。」菊地秋次は率直に言った。

遠慮する必要なんてない、断りたければ断ればいい。

「いいえ、構いませんよ。」千葉清司も面子を失ったとは感じなかった。若い女性が答える時に少し困った様子を見せていたし、本当に用事があるのだろう。この場を盛り上げるために無理強いはできない。

話すべきことを話し終えると、千葉清司は長居せず、菊地秋次に別れを告げて個室を出て行った。

千葉清司が去った後、上杉望は思わず佐藤和音に言った。「和音様、僕、ますます和音様のことを尊敬するようになりました！」

この感覚は微妙なものだった。本来なら彼らが守るべき近所の妹のような存在なのに、なぜか敬服せずにはいられない。

ゲームをしている時もそうだったし、今もそうだ。

上杉望の崇拝に対して、佐藤和音は平然としていた。

彼女は今、食事により集中していた。

お肉を食べると約束したのだから、たくさん食べなければならない。

上杉望は菊地秋次の方をちらりと見たが、菊地秋次も食事に集中していた。

えーっと……

上杉望は5秒ほど呆然とした後、観念して二人にそれぞれ健康的な五穀豊富な温かい豆乳を注いだ。

他のことは考えずに、この二人にしっかり食べて飲んでもらおう。

さもないと、今後誰が彼をランクアップさせてくれるだろうか？

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