第212章 手術前の検査(2)

藤田安広は白衣を着た数人のスタッフを連れて佐藤直樹の病室にやってきた。

「佐藤直樹さん、今日は最後の検査を受けていただきます」藤田安広は表情を引き締め、公務的な態度で言った。

藤田安広を見た佐藤直樹は、なぜか不安を感じた。

おそらく前回藤田安広に尻に打たれた注射のトラウマだろう。

白衣を着た二人のスタッフが近寄り、佐藤直樹の目にアイマスクを装着した。

「なぜアイマスクが必要なんですか?」佐藤直樹は抵抗できないものの、疑問でいっぱいだった。

「これから行う検査室には特殊な光があり、目に良くないんです。アイマスクは目を保護するためです」

藤田安広は真剣な口調で説明し、説得力があった。

佐藤直樹も信じるしかなかった。

佐藤直樹はベッドに横たわったまま病室から運び出されたが、アイマスクをしているため、どこに連れて行かれるのか分からなかった。