第210章 愚痴は無駄

江口沙央梨は原詩織に聞いた話を続けて話しました。「聞いた話だけど、表彰式の日に、その責任者が直接会ってくれるんだって。やっと分かったわ、なぜ佐藤家の者たちが佐藤和音のためにこんなことをするのか。娘の将来のための地固めなのよ!」

考えてみれば、東京から来る大物に直接会えるなんて、それは小さな名誉ではありません。

佐藤家でさえ、東京のそういった名家や豪門と比べれば、まだ一段劣るのです。

原詩織は苦労して笑顔を作りました。「もう過ぎたことよ。私たちは大学入試の準備に専念しましょう」

ある種の言葉は、江口沙央梨に話したところで何の意味もない、言わない方がましです。

原詩織は早くから、不平を言っても無駄だということを知っていました。そして、彼女にはその出来事を変える方法が何もありませんでした。