江口沙央梨は原詩織に聞いた話を続けて話しました。「聞いた話だけど、表彰式の日に、その責任者が直接会ってくれるんだって。やっと分かったわ、なぜ佐藤家の者たちが佐藤和音のためにこんなことをするのか。娘の将来のための地固めなのよ!」
考えてみれば、東京から来る大物に直接会えるなんて、それは小さな名誉ではありません。
佐藤家でさえ、東京のそういった名家や豪門と比べれば、まだ一段劣るのです。
原詩織は苦労して笑顔を作りました。「もう過ぎたことよ。私たちは大学入試の準備に専念しましょう」
ある種の言葉は、江口沙央梨に話したところで何の意味もない、言わない方がましです。
原詩織は早くから、不平を言っても無駄だということを知っていました。そして、彼女にはその出来事を変える方法が何もありませんでした。
運命は早くから、彼女にいつ耐え忍ぶべきかを教えていたのです。
「詩織、あなたって本当に気が長いわね。私だったら、このことでかなり腹を立てていたわよ。考えてみて、佐藤家がこんなことをしなければ、数日後に表彰式に行って、東京から来たあの大物に会えたのはあなただったのよ」
「授業が始まるわ」原詩織はそっけなく話題を変えました。
原詩織は江口沙央梨にどれだけ話しても無駄だと分かっていたので、話さない方がましだと思いました。
江口沙央梨はそんな原詩織を見て首を振りました。
そしてこの時、佐藤直樹と佐藤和音の事件に関する新しい投稿が出されました。
以前のデマを流した人の正体を暴く内容でした。
暴かれた結果は人々を驚かせました。
なぜなら、そのアカウントの本当の所有者はすでに事故で亡くなっていたからです。
つまり、誰かがこのアカウントを盗み、意図的に学校の掲示板で佐藤和音を中傷する投稿をしたということです。
これは明らかに誰かが佐藤和音を陥れようとしているのではないでしょうか?
そうでなければ、なぜこんなに狡猾に、亡くなった人のアカウントを使って投稿するのでしょうか。
このような赤裸々な真実が皆の目の前に突きつけられ、信じざるを得ませんでした。
秋田緑は掲示板の最上部に掲載されているこの二つの投稿を見て、見れば見るほど腹が立ちました。