青木健児はゲームチームのリーダーで、申請メッセージを見て、また驚いた。
名前を何度も確認した。
ゼットワイエス。
これはランキング2位のあの人じゃないか?
そう、ランキング2位のあの人だ。偽物の名前ではない。
そこで青木健児は即座に白石雍也をチームから追い出し、ゼットワイエスを加えた。
白石雍也は青木健児の方を振り向き、疑問符を浮かべた表情で。
「健児、お前そんなに冷たいのか?」
「陽平さん、怒らないでください。ランキング2位の人が入りたいって言うんですよ。ランキング1位と2位が一緒に暴れるのを見たくないですか?」
白石雍也は考えてみて、理にかなっていると思い、同意した。
自分はもう遊ばずに、佐藤和音のプレイを見に行った。
プロの手の速さを直に体感しようと。
佐藤和音の指は白くて細長く、か弱そうに見えたが、実際にキーボードとマウスを操作する時の動きは……
菊地秋次は佐藤和音を追ってきた。
フレンドリストから友達がゲーム中なのが見えた。
佐藤和音のゲームが終わるのを待って、彼女のいるチームに参加申請を出した。
青木健児はわざわざチームボイスを開いたが、ゼットワイエスは皆と交流しなかった。
新しいゲームが始まった。
佐藤和音と菊地秋次が暴れ始めた。
画面上にはジェイテンとゼットワイエスのキル通知が次々と表示された。
青木健児は一緒についていってポイントを稼ごうと思った。
しかし、どういうわけか虫族の群れに連れて行かれ、やられてしまった。
死ぬ直前にチームボイスでゼットワイエスに助けを求めた。
しかしゼットワイエスは彼を助ける気配すら見せず、彼のHPがゼロになるのをただ見ているだけだった。
ゲーム終了、早々に倒れた青木健児は無事キャリーされた。
2戦目、青木健児はまた早々にやられた。ゼットワイエスについてきた虫族に背後から襲われた。
3戦目、青木健児は相変わらず惨死した。今回は生き残ることを第一に考え、常に和音さんの足取りを追っていたのに、それでも不思議なことに虫族の罠に落ちてしまい、光栄な死を遂げた。
3試合を終えて、青木健児はゲームを楽しめなかった。
ポイントは急上昇したものの、勝利の喜びを全く感じられなかった。
青木健児は呆然としていた。自分の運がこんなに悪いなんて信じられず、様々な不可解な死に方をした。