「あの、おじいさん、確かにそういう女の子がいますが...でも秋次おじいさんは妹のように思っているだけで、他意はないんです。」上杉望は慎重に説明した。
「何が妹だ!菊地家は嫁が必要なんだ!義理の妹なんか要らん!他意があるかないかは、お前が決めることじゃない!」菊地おじいさんは怒鳴った。
上杉晴夏と上杉望は彼の怒声に手に汗を握った。
菊地家の祖孙の戦いに、彼らは巻き込まれた魚のようなものだった...
「その子はどこだ、連れてこい!」菊地おじいさんは上杉晴夏と上杉望に直接命令した。
父子二人は返事する勇気がなかった。
「二人を困らせて何になるんだ。俺が嫌だと言ってるのに、強制的に押し付けられるわけじゃないだろう?」
菊地秋次はソファーに横たわり、いつでも眠れそうな様子だった。
「秋次や!お前は我が家の一人っ子だ。おじいちゃんは他に何も望まない、ただお前が早く家庭を持ってくれることだけを願っているんだ。」
「こんな状態の俺が、新婚初夜に死んだらどうするんだ?」
「馬鹿なことを言うな!」菊地秋次が死という言葉を口にした途端、菊地おじいさんは激怒した。
菊地秋次は怯えなかったが、傍らの上杉家の父子は足がすくんでしまった。
「事実を言っているだけだ。」
「そんな話はするな!」
菊地おじいさんの前では、死という言葉と菊地秋次を結びつけることは禁止されていた。
菊地秋次は菊地おじいさんと議論する気も失せ、目を細めながら、右手で隣のテーブルにあるイチゴヨーグルトを一切れ取って口に入れた。
菊地おじいさんは突然目を細め、菊地秋次が食べているものに気付いた。
「秋次、いつからそんな酸っぱい甘いものが好きになったんだ?」
菊地おじいさんの記憶では、この一人っ子の孫は肉食が好きで、そういう酸っぱくて甘いものは普段敬遠していたはずだった。
「最近だ。」隣の小うさぎが持ってきたものだから、しぶしぶ試してみただけだ。
そんなに不味くはないが、やはり肉ほど美味しくはない。
菊地おじいさんは様子がおかしいと感じ、「どうして急に好みが変わったんだ?」
「肉に飽きたんだ。」菊地秋次は隙のない答えを返した。
菊地秋次からこれ以上何も聞き出せないと分かると、今度は上杉望に詰問を続けた。「前に送ってきた写真の女の子は今どこにいる?」