第331章 秋次おじいさんの前で小さな正体を明かす(1)

菊地おじいさんが今回大阪市に来たのは、前回上杉望が彼に送った写真の中の女の子に会うためだけではなかった。

彼にはもう一つ処理すべき事があった。

菊地秋次が大阪市に来た本来の目的は、彼の父に関する事件を調査することだった。

彼の父は二代目を救うために亡くなったので、実際にはその時のトラブルは二代目が引き起こしたものだった。

最近、大阪市刑事課が十数年前の遺骨を発掘し、遺骨の身元は直接確認できなかったが、遺骨の周辺から菊地おじさんに関連するものが見つかった。

これにより、死者は菊地おじさんと関係があり、さらには当時の菊地秋次の父の死とも関係があるのではないかと疑われた。

現在の問題は、まず遺骨の身元と死因を確認する必要があることだ。

時間が経ちすぎているため、遺骨の検査過程が少し困難になっている。

彼らはより専門的な人材を必要とし、遺骨を鑑定してより多くの情報を調査できるようにする必要があった。

そのため、この遺骨は大阪市内の知恵医学研究所に送られ、そこの専門家によって分析鑑定が行われることになった。

菊地おじいさんは最初、研究所に人を派遣して結果を聞いてくるだけのつもりで、自分で直接行くつもりはなかった。

しかし菊地秋次が自分で行くと言い張り、止められず、結局自分も一緒に行くことになった。

出発する直前、隣の佐藤和音が彼らの玄関に現れた。

菊地秋次は佐藤和音を見て、運転手に車を止めるよう指示した。

「便乗させてください」と佐藤和音は菊地秋次に言った。

車の中の上杉望は佐藤和音を見て説明した。「和音ちゃん、私たち今日はいつもと違う場所に行くから、乗せてあげられないかもしれないわ。」

「道は同じよ」と佐藤和音は確信に満ちた口調で、まるで上杉望たちの目的地を前もって知っているかのように言った。

上杉望は少し驚き、菊地秋次は佐藤和音に尋ねた。「あなたも研究所に行くの?」

「うん」と佐藤和音は肯定の返事をした。

そして菊地秋次は佐藤和音のためにドアを開けた。

佐藤和音が車に乗った後、上杉望はようやく思い出した。佐藤和音は知恵医学研究所の人々と知り合いだったことを。

以前、研究所の奥野実里が佐藤和音を助けたこともあった。

そう考えると上杉望も疑問に思わなくなった。