第348章 かつての簡一凌の境遇と同じ

安田洋平が去った後、原詩織はクラスメートの心の中でのイメージが完全に崩壊した。

みんなは原詩織の前では何も言わなかったが、掲示板には彼女についての否定的な評価で溢れていた。

【原詩織って本当にそんなことするなんて、安田洋平の好意を利用するなんて。】

【そうだよね、二人の会話を聞いてると、安田洋平は完全に騙されてたんだよ。】

【可哀想な洋平さん。】

【だから言うでしょ、舐めた態度じゃダメだって。最後には何も残らないって。】

【本当に想像もしなかった。私はずっと原詩織のことを良い人だと思ってた。性格も穏やかで付き合いやすいって。ああ、本当に...】

男子も女子も、自分のために予備として人を置いておいたり、その人を利用して何かをさせたりすることを嫌っていた。

みんなが一斉に原詩織を非難した。

クラスメートたちも意識的に無意識的に原詩織を避け始めた。

この状況は、以前佐藤和音が佐藤直樹を階段から突き落としたと誹謗された時と非常によく似ていた。

これらに直面して、原詩織は歯を食いしばり、心の中で憎しみが溢れていた。

夜、家に帰った原詩織は母親に経緯を尋ねた。

「お母さん、今すぐ全部話してくれないと、私はどうすればいいのか分からないわ。」

原詩織の説得の下、原恵子は真実を打ち明けた。

原詩織は話を聞き終わってしばらく呆然としていた。母親の話は彼女に大きな衝撃を与えた。

原詩織は自分の心の世界の一角が崩れ落ちたように感じた。

原詩織はこの期間の自分の境遇を思い出し、佐藤和音と佐藤家に奪われた全てのことを思い出した。

化学コンクールのこと、佐藤家から追い出された夜のこと、佐藤和音と一緒にいる千葉佳津のこと、自分が取り替えられた役割のこと、今の学校での非難の声のこと...。

原恵子は慌てた:「詩織、お母さんを怖がらせないで。全て母さんが悪いの、母さんがあなたを害してしまったの。」

原恵子は娘に謝り続けた:「ごめんなさい、母さんが間違ってたわ。母さんが一人で背負おうと思ったのに...でも...結局あなたまで巻き込んでしまった!母さんが謝るわ、許してもらおうとしたけど、でも無駄だった...彼らは全く聞く耳を持たなくて...今じゃあなたまで巻き込んでしまって、母さんが悪いの、母さん、ごめんなさい...」