第349章 3番目の兄の心は複雑

佐藤和音が階段を降りてきた。佐藤直樹が近づこうとしたが、佐藤明人と佐藤隼人が先に彼女のところへ行った。

そして佐藤直樹は、和音が二人と話をしている様子を見ていた。時々うなずいたり、優しく言葉を交わしたりする姿は、とても愛らしかった。

佐藤直樹は思わず幼い頃のことを思い出した。妹がグミを持って彼をなだめてくれた時のことを。

「お兄ちゃん、泣かないで。おもちゃの車が壊れたら、大お兄ちゃんが新しいの買ってくれるから。私のグミをあげる。二番目のお兄ちゃんがこっそりくれたの。私、まだ食べてないの!ママには内緒だよ。ママはお菓子を食べちゃダメって言うから、お尻ペンペンされちゃうの!」

柔らかい白い手が、グミの袋を丸ごと彼の手に押し込んだ。歯の抜けた口で笑顔を見せた。

しかし、その思い出が過ぎ去ると、今の彼は彼女からとても遠い場所に立っていた。

確かに...彼は和音の実の兄なのに、明人と隼人はただの従兄弟なのに。

でも今は...彼と和音の距離は、彼らよりもずっと遠くなってしまった。

三人が一緒にいる光景は、言葉では表せないほど調和が取れていて素晴らしかった。

彼らが着ている和音が手編みしたセーターを見て、和音が優しい手つきで一針一針編んでいる様子を想像すると、佐藤直樹の胸の内は複雑な思いで一杯になった。

食事の時、和音の片側には佐藤一輝が、もう片側には佐藤隼人が座り、向かいには佐藤明人が座っていた。

佐藤直樹と和音の間には大きな距離があり、和音に料理を取ってあげる機会すらなかった。

昼食後、佐藤隼人、佐藤明人、佐藤一輝、和音はゲームをしに行った。

四人でチームを組むのにちょうど良かった。

佐藤正志については、彼は一緒にプレイしなかったものの、プレイしているゲームは彼の会社が開発したものだった。

佐藤直樹はどこへ行けばいいのか分からず、部屋の隅で見ているしかなく、手のリハビリをしたり、本を読んだりしていた。

しかし、ゲームをしている四人の様子が賑やかで、注意を引かれずにはいられなかった。

「和音ちゃん、突っ込もう!みんなやっつけちゃおう!」

「あー、和音ちゃん助けて!虫けらどもに囲まれちゃった!」

佐藤明人はゲームをすると人が変わったように、大声を出し、興奮すると誰のことも構わなくなる。