一方、佐藤賢治と佐藤博兄弟は老人と書斎で家族企業の件について話し合っていた。
岡本治美と山田燕は老夫人とお茶を飲みながらおしゃべりをしていた。
山田燕は今や岡本治美を見るたびに腹が立っていた。
これまでの出来事で自分が正しいと主張できず、老人夫婦の前では我慢するしかなかった。
我慢するだけでなく、笑顔も作らなければならず、義姉がこんな大きな仕事を引き受けてくれたことに感謝しているように振る舞わなければならなかった。
「お義姉さん、最近本当にご苦労様です。私の能力不足で財団の仕事をうまく処理できず、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」山田燕は満面の笑みを浮かべた。
彼女の笑顔と言葉遣いは非の打ち所がなかった。
「財団は家族のものですから、私は佐藤家の嫁として責任があります。義妹さん、ご心配なく。財団はしっかり管理させていただきます」岡本治美の声は柔らかいが、自信に満ちていた。