第359章 記者会見(2)

研究所は今回の記者会見で新薬の研究成果を発表することを主な内容としていた。

記者会見はオンラインで同時配信された。

配信の視聴者数は過去最多となった。

これまでこのような配信を見ていたのは、この業界の関係者や研究者だけだった。

今日は多くの見物人が集まり、主に学生で、一部の保護者や教師もいた。

休みを取った原詩織は、パソコンの前に座り、オンライン配信を通じてこの記者会見を見守っていた。

研究所からの回答を待っていた。

佐藤家と佐藤和音は、彼女たちにしたことの代償を払うべきだ。

彼女と母親が受けた屈辱は、この記者会見の後、佐藤和音とその家族に全て返されることになる。

会見の前半は見物人にとって少し退屈で、学術的な内容ばかりで、ほとんどの人には理解できなかった。

後半の質疑応答の時間になると、記者たちは最近噂になっているファズル先生の論文盗用事件について質問し始めた。

質問した記者は盗用事件自体にそれほど関心があったわけではなく、むしろ常に謎に包まれていたファズル先生に関する珍しい情報だったため、記者たちは見逃したくなかったのだ。

「この数日間、ネット上で話題になっているファズル先生の論文が高校生に盗用されたという件について、ファズル先生はどのようにお考えでしょうか?」

記者が質問すると、コメント欄が賑わい始めた:

【おおっ、来た来た、本題キタ!】

【盗用した学生が相応の罰を受けるのを待つ。】

【私は栄光高校の生徒です。うちの学校の生徒は盗用していないと信じています!】

【もういいよ、証拠は明らかなのに、まだ盗用してないって。研究所の態度を見守りましょう、訴訟するかどうか。】

【研究所が訴訟を起こしたら面白くなるね。その生徒は後悔で腸が青くなるだろうね。】

記者の質問に対して、回答を担当したのは藤田安広で、彼は物腰柔らかく、質問に答える態度は謙虚で、声は落ち着いていた。

「盗用は確かに深刻な問題です。どの業界でも、私たちは盗用に対してゼロ容認の姿勢です。」

藤田安広の発言に、コメント欄には【法的通告警告】の文字が流れた。

【研究所は本気で対応するつもりなのか?その学生は大変なことになるぞ!】

【何が大変だよ、自業自得でしょ?】

【ファズル先生の提訴を支持します。盗用にはゼロ容認で!】