菊地秋次は「うん」と返事をしてから、弁当箱を持って隣のテーブルへ行って食べ始めた。
千葉優花はずっと見ていたが、菊地秋次に無視されていた。
千葉優花の佐藤和音への視線は非常に冷たくなった。
千葉優花は佐藤和音が故意にやっているとしか思えなかった。
まだ若いのに、もう男性に弁当を作って持ってくるなんて。
上杉家には料理人がいるのに。
年は若いけど、思惑は大きいわね。
男の子に弁当を作って持ってくるなんて、菊地若様がこういうタイプの女の子を好むと思っているの?
千葉優花は菊地若様が従順で良妻賢母タイプの女の子を好むはずがないと確信していた。
千葉優花はテーブルに近づき、菊地秋次に言った:「秋次おじいさんが『虫族の侵略』というゲームをプレイしていると聞きました。私は最近チームを結成して、そのチームは既に全大会で上位20位に入っています。公式大会のルールによると、上位20位のチームは正式なチームとしてオフライン大会に参加でき、さらに多くのプラットフォームでネット配信されます。」
千葉優花は自分のこの話が菊地秋次の注目を集められると思っていた。
千葉優花は勢いに乗って菊地秋次に説明を続けた:「このチームを菊地若様に差し上げたいと思います。もし菊地若様がこのゲームをお好みでしたら、このゲームのオフライン大会を体験して、プロゲーマーたちと腕を競っていただけます。」
男性がゲームをすることについて、千葉優花は嫌うどころか、全面的にサポートする。
彼女は絶対に男性に「私とゲームどっちが大事なの?」なんて聞かない。
彼女が今これらのことをしているのは、菊地秋次に自分が彼の彼女として相応しい人間だと分かってもらいたいから。
彼の好きなものは彼女も好きになり、彼がやりたいことには彼女も付き合う。
千葉優花のこの発言に、傍にいた上杉望は驚いた。
以前なら、このようなニュースを聞いたら、ゲーム好きの上杉望はきっと興奮して飛び上がっていただろう。
しかし今は、上杉望はそれほど興奮した様子を見せなかった。
『虫族の侵略』オンライン大会の上位20チームが既に出揃っていた。
そのうち国内チームはわずか3チームで、残りの17チームは海外のチームだった。
そして彼らの天翔チームはその3チームの1つだった。