第363話 夢じゃなかった

「あっ!」佐藤明人は驚いて叫び声を上げた。

隣のもう一つの頭も動いた。

奥野実里はまだ目を開けず、起床時の不機嫌さが先に出た。「誰よ、うるさく人の夢を邪魔して。ぶん殴るわよ?」

奥野実里は文句を言いながら、ゆっくりと眠そうな目を開けた。

視線が佐藤明人と合った。

「野田国夫?あれ、まだ目が覚めてないのかな。アイドルの夢を見るなんて、いい夢みたいだから、もう少し寝ていよう。」

奥野実里は自分がまだ目覚めていないと思っていた。

そして大胆に佐藤明人を見つめ始めた。

佐藤明人は完全にパニックになり、最初の反応はすぐにここから逃げ出すことだった。

佐藤明人がベッドから起き上がろうとした時、突然自分が服を着ていないことに気付いた。

布団が滑り、長年のダンスで鍛えられた腹筋が露わになった。