第366話 物語の展開が変わった

研究所の記者会見の後、佐藤正志はまだ佐藤和音の盗作を告発した機関について追及を続けていた。

他人が問い詰める前に、その機関は自ら謝罪の場に立った。

声明を発表し、当時佐藤和音の記事を処理したのは臨時職員で、操作ミスにより記事を間違えてしまい、このような誤解が生じたと説明した。

この説明は納得しがたいものだったが、現時点で証拠がなく、また、この機関は大阪市内にないため、詳しい調査には困難が伴い、短期間では結果を得られない状況だった。

しかし、ネット上での佐藤和音への疑惑の声は完全に収まった。

佐藤和音は盗作の疑いを晴らしただけでなく、来年の大学入試に飛び級で参加する件も直接スケジュールに組み込まれた。

栄光高校はさらに、佐藤和音を高校三年生の特進クラスに編入させ、三年生の授業を受けさせることを提案した。

佐藤和音はこの提案を断った。

彼女は早期の大学入試受験は受け入れたが、クラス変更は拒否した。

学校側もこれを無理強いせず、本人の決定を尊重すると表明した。

これにより佐藤和音は栄光高校の多くの生徒の心の中で新たな学業の女神となった。

これは以前の佐藤和音には決して起こらなかったことだった。

そしてこの時期、原詩織の登校日数は更に減少し、彼女は多くの時間を撮影に費やし、芸能界でのキャリアに専念しようとしているようだった。

これは原作のストーリーとは異なっていた。

原作では、原詩織は高校三年生の時に1、2本のCMに出演しただけで、より多くの時間を要するドラマ撮影には参加していなかった。

彼女はとても明確に理解していた。現段階で最も重要なことは学業だということを。

撮影の仕事は大学に入ってからでも遅くはないが、大学入試を逃せば、それは一生を左右することになる。

そのため彼女は大学に合格するまで待ち、その後に本格的に芸能活動を始めた。

しかし、なぜか今の彼女の行動は完全に変わってしまっていた。

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千葉優花は前回の一件があったため、佐藤和音の今回の盗作事件にも少し関心を寄せていた。

しかし最後まで見て、彼女はこれが極めて退屈だと感じた。

千葉優花自身が天才で、15歳で国内最高峰の大学に合格したため、佐藤和音が早期に大学受験を目指すことに対して、何の驚きも感動も覚えなかった。