第373章 シン・イーリンが番組に参加する

リアリティ番組の第二回が始まった。

今回は参加者全員が番組スタッフによって無人島に送られることになる。

集合場所は埠頭だ。

岸辺に停泊している船は、彼らを無人島へ運ぶためのものだ。

佐藤明人と佐藤和音が最後に到着した。

到着した時には、他の七組がすでに揃っていた。

その中には原詩織と母親の原恵子もいた。

原詩織が原恵子を同伴できたのは、山田燕のおかげだった。山田燕が原恵子の窃盗事件を直接解決してくれたのだ。

原詩織も驚いていた。山田燕が佐藤正志の手元にある原恵子の窃盗証拠を破棄する方法を持っていたとは。

これは原詩織が山田燕と協力を始めた時には想像もしていなかったことだ。

原詩織には理解できなかった。山田燕がそのような力を持っているのなら、なぜ彼女はこれほど長い間、佐藤家の本家に押さえつけられる立場にいたのだろうか。

佐藤和音を見た瞬間、原恵子は身を縮めた。

本能的に緊張してしまい、佐藤正志に顔を踏まれ、岡本治美に公衆の面前で侮辱された記憶が一気に蘇ってきた。

原詩織は原恵子の手を握り、その不安を和らげた。

「大丈夫よ」原詩織は目で原恵子に伝えた。今は佐藤家の者に把柄を握られているわけでもなく、もう佐藤家の使用人でもない。佐藤家の者を恐れる必要は全くないのだと。

原恵子は頷いた。大丈夫、今回は娘に付き添って来たのだから、娘の面目を潰すわけにはいかない。

娘が言っていたように、この番組では生活の技術が多く必要になる。それはまさに苦労して生きてきた母娘の得意分野だった。

佐藤明人は佐藤和音の手を握り、静かに一番端の位置に立っていた。

他の出演者の中には若い男性が何人かいた。しっかり見張っておかなければならない。

佐藤一輝から警告されていたのだ。妹はまだ幼いから、他のオオカミの子どもたちを近づけたら、帰ったら先に一戦交えることになると。

喧嘩に関しては佐藤明人は佐藤一輝を恐れていない。佐藤一輝に負けるとは限らないのだ。

しかし佐藤明人は、今後妹と遊びに出かける権利を失うことを恐れていた。

出航前に、番組スタッフは全員にバックパックを用意し、参加者たちは浜辺で装備を選ぶことができた。

各自好きな装備を選べるが、バックパックに入る量だけだ。