佐藤和音は佐藤明人に推理の過程を説明し、明人は目を丸くして聞いていた。
とにかく妹は確実に正解を出したようだ。箱が開いたのだから。
今回の箱の中には、手がかりカードの他にテントも入っていた。
佐藤明人は大喜びした。さっきまで妹が夜風に当たって寒い思いをするのではないかと心配していたのだ。
今やプロ仕様のテントがあるので、絶対に安心だ。
弾幕には一斉に【666】が流れた。
【妹の知能は明人さんを何倍も上回ってるね、ははは……】
【明人さんが妹を連れて行くと思ったら、妹が明人さんを連れて行ってるんだね。妹さん大変でしょう?この子面倒見るの】
【今この瞬間から、私は妹の顔ファンから頭脳ファンに転向します】
【目を見て確信した、私には到底及ばない知能だと】
【私だけじゃなく、明人さんにも及ばない。これで気が楽になったわ、ははは……】
佐藤和音はまだ止まらず、佐藤明人と一緒にテント探しを続けた。
和音は明人が勝ちたがっているのを知っていた。確実に勝つためには、十分な数の箱を事前に開ける必要があった。
前回の番組を研究した和音は、箱の問題が探偵系、数学系、科学系、歴史知識系に限られることを知っていた。
これらの問題は彼女にとってそれほど難しくなかった。
唯一予想外なのは、他の人が先に箱を見つけて開けてしまう可能性だった。
そのような事態を避けるため、和音は初日から先手を打つことにした。
さらに15分ほど経って、和音と明人は3つ目の箱を見つけた。
今回は運が良く、出演者にアクションをさせる20パーセントの課題だった。
課題内容:【マイクに向かって『青蔵高原』を歌い、マッチング率90%で課題クリア】
課題は二人で一緒に完成させる必要があった。
だから明人一人で歌うだけでは足りず、和音も一緒に歌わなければならなかった。
視聴者たちは大いに期待した:
【わーい、明人さんのハイトーンが聴けるよ、楽しみ楽しみ】
【明人さんのハイトーン超すごいよね、[ハート]】
【兄妹デュエット、絶対素敵だよ!】
明人は和音を一瞥してから、自信満々に音を取った。
和音は口を開いて、苦労しながら一節ついていった。
そして……空気が凍りついた。
和音の歌声は……予想外に……言葉では表現できないほどだった。
完全に音程が外れていた!