第11章：功労は君のおかげ

馬場絵里菜のこのような態度を見て、中山杏は心の中で思わず目を回し、馬場絵里菜の偽善を密かに皮肉りながら、表面では友好的な態度を装って言った：「認めることに何の問題があるの？林駆が昼食を買ってくれたのを私たちみんな見たわよ。恥ずかしがらずに認めたらどう？」

本来なら馬場絵里菜はこのようなことを他人に説明する必要はないと思っていた。あることはあるし、ないことはない。でも考え直してみると、他人に誤った噂を広められるよりも、中山杏の口を借りて真相を広めた方が、自分も気が楽になれる。結局のところ、林駆に想いを寄せる人は少なくないし、対応するのも本当に面倒くさい。

そう考えて、馬場絵里菜は手を止め、中山杏を真剣な表情で見つめながら言った：「それは誤解よ。林駆が私に食事を奢ったのは、ただ謝罪のためで、あなたたちが考えているような大げさなものじゃないわ。期待外れで申し訳ないけど」

中山杏はその場で一瞬固まり、しばらくしてやっと我に返り、悟ったように言った：「そうだったの！やっぱりね、あなたたち二人は合わないと思ってたわ。だって、所詮違う世界の人間だもの……」

話の途中で、中山杏は言い過ぎたふりをして、慌てて口を押さえたが、その言葉の意味は明らかだった。馬場絵里菜は林駆に釣り合わないし、林駆が馬場絵里菜に目を向けるはずがないという皮肉だった。

「馬場さん、私の言い方が下手で、他意はないから、気にしないでね」中山杏は謝罪するふりをしながら、馬場絵里菜の表情を観察し、傷ついた様子を見たがっていた。

しかし馬場絵里菜は彼女を失望させた。馬場絵里菜は何でもないように口元を緩めて微笑み、淡々と頷きながら言った：「その通りよ。私と彼は元々同じタイプの人間じゃないから、これからは私と彼を一緒くたにしないでほしいわ」

馬場絵里菜のこのような反応を見て、中山杏はさらに心の中で不審に思い、馬場絵里菜が強がっているだけで、きっと心の中では何百回も泣いているに違いないと思った。

しかし馬場絵里菜の予想通り、真相を知った中山杏は人工的な情報拡散機のように、午後のうちに馬場絵里菜と林駆の件を学校中に広めてしまった。みんなも林駆が馬場絵里菜に食事を奢ったのは謝罪のためで、他意はないということを理解した。

午後の下校時、馬場絵里菜と高橋桃の二人が楽しく話しながらバス停に向かっていると、途中で何人かに行く手を遮られた。

鈴木由美を筆頭に、馬場絵里菜の知らない女子が四人、明らかに鈴木由美の取り巻きだった。

五人が一列に並んで二人の道を遮り、明らかに喧嘩を売るような態度だった。

馬場絵里菜は足を止め、本能的に高橋桃を後ろに引いた。鈴木由美はそれを見て冷笑し、馬場絵里菜に向かって言った：「馬場さん、自分の身も守れないくせに、人を守ろうなんて考えないでよ」

「何がしたいの？」馬場絵里菜は目を険しくしたが、目の前の状況に怯える様子は見せなかった。

「ふん、何がしたいって？」鈴木由美は眉を上げ、軽蔑した表情で言った：「当然、あなたを懲らしめてやるのよ！馬場さん、あなたは厚かましすぎるわ。よくも林駆に一ヶ月も昼食を奢らせようなんて。自分がどんな身分か分かってるの？あなたにそんな資格があると思ってるの？」

馬場絵里菜は怒るどころか笑みを浮かべ、鈴木由美を挑発するように応じた：「それなら、あなたに感謝しないといけないわね。あなたが私を池に突き落としてくれなかったら、林駆も謝りに来なかったし、この昼食の件もなかったはずよ。結局、この無料ランチの功労の半分は鈴木由美のおかげってことね！」