一時的に良い方法が思いつかず、馬場絵里菜も少し落ち込んでいたが、手持ちの金は限られており、使ってしまえばなくなってしまうため、一発で成功させなければならなかった。
リビングから馬場輝の声が聞こえ、兄が帰ってきたと分かると、馬場絵里菜は急いで考えを切り上げ、ベッドの上のお金を片付けた。
「お兄ちゃん!」
部屋から出て、馬場絵里菜が迎えに行くと、まだ言葉を交わす前に、馬場輝にリビングの隅へと引っ張られた。
馬場絵里菜は不思議そうな顔で、馬場輝に尋ねた:「どうしたの、お兄ちゃん?」
馬場輝は神秘的な笑みを浮かべ、ポケットからお金を取り出して馬場絵里菜の手に押し込んだ:「給料が出たんだ。これを使いなよ。」
馬場絵里菜は一瞬固まった:「明日じゃなかったの……」
下を見ると、新品の百元札が何枚も。馬場絵里菜が数えてみると、なんと8枚もあった。
驚いて、馬場絵里菜は兄を見上げて尋ねた:「お兄ちゃん、なんでこんなにたくさん?全部私にくれるの?」
馬場輝の月給は歩合給を含めて800元前後で、多くても1000元程度だった。そしてそれを二つに分け、一部を母親に、一部を妹にあげていた。
今、馬場絵里菜の手には800元もあり、馬場輝の一ヶ月分の給料に相当する額だったため、彼女がこれほど驚いたのだった。
馬場絵里菜のそんな反応に、馬場輝は得意げにかっこいい笑顔を見せ、小声で言った:「リーダーに昇進したんだ。これからは月給が1500元になるよ。」
馬場絵里菜はそれを聞いて、思わず顔をほころばせた:「本当?」
馬場輝はうなずいた:「もちろん本当さ。」
馬場絵里菜は兄のことを嬉しく思った。バーのリーダーとはいえ、接客係よりは楽になるし、給料も上がる。
しかし馬場絵里菜はお金を受け取らず、素早く5枚を数えて馬場輝に差し出した:「お兄ちゃん、これは自分で持っていて。私は300元あれば十分だよ。」
「僕はお金なんて要らないよ!」馬場輝は馬場絵里菜を見て言った:「お前が使いなよ。クラスメイトが何か好きなものを買ったら、お前も買えばいい。いつもケチケチするなよ。第二中学校はお金持ちの子供たちの学校なんだから、妹に見下されるようなことはさせたくないんだ。」