馬場輝は顔を赤らめてもごもごと声を出したが、認めることも否定することもしなかった。
馬場絵里菜はそれを見て確信を深めたが、どんな女の子が兄を魅了したのか気になった。
「絵里菜、お箸を持ってきて、ご飯の準備よ」
キッチンから細田登美子の声が聞こえ、馬場輝はその機会に乗じてキッチンへ向かおうとしたが、馬場絵里菜に引き止められた。馬場絵里菜は五百元を再び馬場輝のポケットに押し込み、「彼女ができたなら、なおさらお金を持っていないとね。お兄ちゃんに女の子のお金を使わせるわけにはいかないでしょう!」と言った。
馬場輝は初めての恋愛で、帰宅早々妹に見抜かれてしまい、どうしていいか分からない様子だった。五百元を握りしめたまま何も言えず、気づいた時には馬場絵里菜はすでにキッチンに入っていた。