第17章:校長室に押しかけた

朝の授業のチャイムが鳴り、騒がしかった教室は一瞬にして静かになった。しかし、目の良い生徒たちは後ろの席の鈴木由美の席が、まだ空っぽのままであることに気づいた。

馬場絵里菜もそれに気づいていた。今日も鈴木由美が彼女に嫌がらせをしてくるだろうと思っていたが、意外にも姿すら見えなかった。馬場絵里菜は、昨日のあの難しい開脚で怪我をしたのか、まだ足が良くなっていないのだろうと推測した。

「馬場絵里菜さん、ちょっと出てきなさい。」

生徒たちが朝読書をしているとき、担任の鈴木先生が教室の入り口に現れ、席にいる馬場絵里菜を呼んだ。

今や馬場絵里菜はクラスの注目の的となっており、鈴木先生のこの一声で、生徒たちの視線は一斉に馬場絵里菜に集中した。

馬場絵里菜も一瞬戸惑ったが、すぐに手にしていた本を置き、クラスメートの視線を浴びながら教室を出た。