第020章:まさかの通報!

「馬場絵里菜、誰を豚呼ばわりしているの!」

鈴木由美は馬場絵里菜の言葉の皮肉を聞き逃すはずもなく、怒りのあまり車椅子から立ち上がってしまった。しかし、不用意な動きで筋を引っ張ってしまい、思わず冷たい息を吸い込んだ。

「あら、由美ちゃん動かないで。まだ怪我が治ってないのよ」田中霞は慌てて鈴木由美を支えて座らせた。

馬場絵里菜はその様子を見て、冷ややかに答えた。「木にぶつかった人が豚よ!」

「聞いてください、みなさん聞いてください!」田中霞は指を震わせながら、馬場絵里菜を指さして、その場にいる先生たちに言った。「この態度を見てください。これが謝罪に来た人の態度ですか?ねえ?」

鈴木先生は田中霞の非難を無視し、校長に向かって言った。「菅野校長、馬場絵里菜と鈴木由美の担任として、まず生徒間でこのような事が起きたことについて、私にも責任の一端があります。しかし、今回の件については馬場絵里菜を信じます。彼女はクラスでいつも大人しく、素直で、決して他人に喧嘩を売るようなことはしません。」

鈴木先生は第二中学校で長年教鞭を執っており、その人柄は在席の全員が知るところだった。今、彼女が馬場絵里菜のために直接発言したことで、皆は心の底から彼女を信じることにした。

田中霞はそれを聞いて即座に逆上し、三歩を二歩で鈴木先生の前に駆け寄り、目を見開いて叫んだ。「何を言っているんですか?あなたは教師として、担任として、こんなにも露骨に偏った対応をするんですか?なぜ彼女の言うことは本当で、私の娘の言うことは嘘だと思うんですか?ただ彼女が大人しくて素直だからですか?言っておきますが、私の娘も家では素直で分別のある子です。今、学校でいじめられているんです。満足のいく対応をしてもらわないと困ります!」