第24章：彼女はまだ子供

馬場絵里菜は冷たい表情を浮かべ、鈴木由美の前に歩み寄り、見下ろすように彼女を見つめながら、冷淡な口調で言った。「鈴木由美、この監視カメラの映像だけで、私はあなたを殺人未遂で告訴できるのよ」

馬場絵里菜の言葉に、鈴木由美は震え上がり、恐怖に満ちた表情で言った。「殺人なんてしていません...私...あなたは今、元気に生きているじゃないですか...」

田中霞も恐怖に駆られた。法律のことはよく分からなかったが、娘がまだ未成年で刑事責任を負う条件を満たしていないことは知っていた。すぐに警察官の手を掴んで言った。「警察官さん、私の娘はまだ子供で、分別がつかなかったんです。それに相手も無事なんですから...見逃していただけませんか...」

馬場絵里菜はその言葉を聞いて、冷笑を漏らした。「私が無事だったのは運が良かっただけよ。あの時、通りかかった先生が助けてくれなかったら、今ここに立っていられると思う？」

馬場絵里菜の冷静さに、その場にいた全員が身震いした。先ほどの監視カメラの映像では、水に突き落とされた女子生徒は臆病で弱々しく見えた。しかし、今目の前に立っている馬場絵里菜は、まるで別人のようだった。彼女から放たれる無形の鋭い気迫に、鈴木由美のために情状を訴えようとしていた教師たちも黙り込んでしまった。

そうだ、彼女はこの事件で命を落とすところだった。彼らには鈴木由美を許すよう求める資格などなかった。

「馬場さん、一体どうしたいの！」

鈴木由美の声には涙が混じっており、明らかに怯えていた。しかし、彼女がそうすればするほど、馬場絵里菜には滑稽に思えた。今になって怖くなったの？水の中で必死にもがいている命を前にして、なぜその時は少しも恐れなかったの？相手が死ぬかもしれないという不安も全くなかったの？

「私は何もしたくないわ」馬場絵里菜は気迫を収め、淡々とした口調で答えた。「ただ、間違ったことをした人は相応の罰を受けるべきよ。私が死ななかったのは確かだけど、この監視カメラの映像だけでも殺人未遂の罪に問うには十分よ。もちろん、あなたは未成年の高校生だから、刑事責任は問われないかもしれない。でも、東京の少年院なら一年や半年は十分入れるわ！」