第051章:細田部長が正式に就任

その言葉を言い終えると、井上は細田登美子の前に歩み寄り、真剣な面持ちで語りかけた。「あなたはパラダイスで長年働いてきたから、パラダイスの経営方針をよく理解しているはずです。井上財閥は全国にナイトクラブを数多く持っていますが、接客サービスはあっても、決して不正な商売はしていません。これからはパラダイスの社長として真面目に仕事に励んでください。井上家はあなたを大切にします」

細田登美子は、まさか井上の前でこのような真摯な言葉を聞くことになるとは思ってもみなかった。その場で胸が高鳴るばかりだった。しかし、緊張の中にも、細田登美子は突然理解した。

この社長の座は井上が一時の気まぐれで任命したものではなく、昨夜の出来事を見ていたからこそ、その後の展開につながったのだと。そう考えると、細田登美子の心は少し落ち着いた。この地位には因果関係があり、井上の単なる思いつきではなかったのだから。