第067章:利益なければ早起きなし

部屋は一瞬にして静まり返った。テーブルの上に置かれた誰も手をつけていない水を見て、馬場絵里菜は軽くため息をついた。

男尊女卑の風習は古くから今日まで続いているが、馬場絵里菜は自分の家でこれほどまでにその風習が徹底されているとは思ってもみなかった。もう千年紀も変わったというのに、まだこんなにも封建的で頑固な人がいるなんて。息子が寒いと一言言えば、娘の皮を剥いででも服を作ってやりたがるほどだ。

馬場絵里菜は先ほどの自分の行動に何の不適切さも感じていなかった。血のつながった親族たちも、彼女にとっては他人同然だった。利益なくして早起きなし。利益がなければ、わざわざ彼らのボロ家など買うはずもない。これも前世で商人だった彼女の心得というものだ。

だから将来どうなろうと、今日の自分の行動を後悔することはない。これは家族のため、母と兄のためなのだから。