第076章:これは珍しい

「中山杏、あなたはゴシップが好きで、噂話を探り回るのが好きだから、芸能記者にならないのは本当にもったいないわね」クラスメートの一人が中山杏の言葉を聞いて、馬場絵里菜を擁護して立ち上がった。

「そうよ、一日中人の噂を探り回って、余計なお世話よね」

「そんなに噂話が好きなら、地獄に落ちた時に舌を切られるわよ」

……

一人だけでなく、何人もの生徒が馬場絵里菜のために声を上げた。机を整理していた馬場絵里菜の動きが止まり、普段は冷たい目を向けてくるクラスメートたちが、今は自分を擁護していることに驚きの表情を浮かべた。

これは本当に珍しいことだった。

しかし、よく考えてみると馬場絵里菜にも分かった。きっと自分が夏目沙耶香と友達になったからだろう。

第二中学校は確かに名門校だが、裕福な家庭にも上下があり、資産数百万円と数千万円では全く違う階級だ。夏目グループのような時価総額が数百億円の国際企業こそが、真の名門と呼べるもので、一般の富裕層とは比べものにならない。