第078章:何が恐ろしい?

高橋桃は首を縮めていた。心に後ろめたさはなかったものの、大勢の人に囲まれているのに耐えられず、顔を赤らめてしまった。

柳澤夢子と一緒にいたもう一人の女子生徒は冷笑して言った。「どこから手に入れたかって?そんな貧相な人がこんな高価なハンカチを持てるわけないでしょ?絶対盗んだに決まってるわ!」

「違います...私は盗んでなんかいません!」高橋桃は目を赤くして、慌てて首を振って否定した。

しかし、高校1年生の中で足立区出身の生徒は数人しかおらず、皆知っている。高橋家の経済状況は馬場絵里菜よりも厳しく、このような高価なハンカチの出所を説明できない以上、皆は彼女が盗んだと思い込んでいた。

「まぁ、こんな人だったなんて意外ね。普段はまじめそうに見えたのに」

「貧乏暮らしに慣れてると、こんな良いものを見たら手が出ちゃうのも無理はないわね」