古谷始は我に返り、言葉を聞いて手を伸ばして茶碗を持ち上げた。
本当に空腹だったのか、おかゆは流動食で、食べるのに動作が小さく傷口を刺激しにくいこともあり、小さな一杯のおかゆは彼によってあっという間に飲み干されてしまった。
馬場絵里菜はその様子を見て急いでもう一杯を持ってきた。今度はより大きな茶碗に替えたが、それでも古谷始の狼のような食べっぷりには追いつかなかった。五杯目を飲み干したところで、馬場絵里菜は心の中で「もし彼がまだ飲むというなら、鍋の中にはもう残っていない」と思った。幸い、古谷始は茶碗を置いて静かに「満腹だ」と言った。
馬場絵里菜は平然と安堵の息をつき、その後また気遣わしげに尋ねた。「もう少し休みませんか?まだ4時間も寝ていないのに。」
古谷始は軽く首を振った。「僕が小さい頃、登美子おばさんはよく僕を抱っこしてくれたんだ。その時君はまだ生まれていなかったね。まさか初めて君に兄として会うのが、こんな状況になるとは思わなかった。」