馬場絵里菜は軽くため息をつくと、唇を曲げて笑みを浮かべた。
この数日間、携帯電話を買おうと思っていたのに、白川昼がこんなにも気が利いて、家に誰もいない時に密かに届けてくれるとは思わなかった。
昨日、白川昼は心法も武術も知らないと言っていたが、馬場絵里菜は半信半疑だった。今となっては白川昼が何か隠していると疑わざるを得ない。玄関はしっかりと施錠されていたのに、どうやって中に物を届けたのだろうか?
携帯電話の連絡先を開くと、そこには白川昼の番号だけが寂しく登録されていた。馬場絵里菜は笑いながら首を振り、すぐに電話をかけた。
電話は一回の呼び出し音で素早く出られ、電波のノイズで少し歪んだ声が聞こえた。「門主」
「今夜来てくれないか、相談したいことがあるの」馬場絵里菜は直接切り出した。