第124章:オークション最大の勝者

がちゃっ……

その場にいた全員の表情が一瞬凍りついた。会場内は一時、異様な静けさに包まれた。

司会者も呆然としていたが、しばらくしてようやく反応し、カウントダウンを始めた。

「八千万円、一回目!」

「八千万円、二回目!」

「八千万円、三回目!」

「落札!」

ハンマーが下りた瞬間、呆然と立ち尽くしていた人々も我に返った。皆が振り返って見ると、八千万円と叫んだ少女は椅子に気ままにもたれかかっており、まるで先ほどの競り値が自分の口から出たものではないかのような様子だった。

馬場長生は完全に呆然としており、我に返った時にはすべてが既定事実となっていた。

八千万円!

相手は彼の競り値に七百万円を上乗せし、明らかに互角の勝負や追いかけっこのような駆け引きをする気はなく、一気に上限を封じ込めようとしたのだ。