もともと入札するつもりのなかった馬場絵里菜は、この時思わず目を輝かせた。この土地の価値は一目瞭然で、今日の目玉物件となるのも当然だった。
価格は急上昇し、すぐに4000万円に達した。
白川昼はその時眉を上げ、馬場絵里菜の方を向いて言った。「社長、この土地は何もせずに放っておいても、2年もすれば自然と価値が上がるでしょう。」
馬場絵里菜は微笑んで答えた。「こんな良い土地で、こんな良い場所なら、どんなプロジェクトを開発しても、基本的に損はしないわ。」
馬場絵里菜のその言葉を聞いて、白川昼は意を悟り、すぐにプレートを上げて叫んだ。「4300万円!」
この時点で価格は1号地の価格に迫っていた。1号地は1万平方メートル以上あり、面積は5号地の数倍もあった。しかし5号地は優れた立地条件と値上がりの余地があり、価格が自然と高騰していた。
他の企業もこの理屈を理解しており、競り合いは白熱した状態に入り、馬場長生と豊田剛も次々と価格を呼び上げ、今日のオークションは最後の土地の入札で初めてクライマックスを迎えた。
「5100万円!」豊田剛がプレートを上げて競り値を付けた。
今日までセンチュリーグループは何も得られておらず、豊田剛の慎重さは業界でも有名だった。今この5号地に執着しているのは、明らかにこの土地の価値を見抜いているからだった。
「5300万円!」馬場長生が再び価格を上げた。
価格はすでに5000万円を超え、馬場家とセンチュリーの2社による一騎打ちとなっていた。この時点で大半の企業は二の足を踏み、このような高額な競り合いに対して、明らかに意欲はあっても力不足だった。
「5500万円!」白川昼が再び戦いに加わり、これは他の企業の人々の注目を集めずにはいられなかった。
この東海不動産の人は先ほど5000万円以上で土地を落札したばかりなのに、今またこの区画も狙うつもりなのか?
1億円の運転資金は決して小さな額ではなく、馬場グループのような大企業でさえ、そう簡単には用意できないはずだ。
豊田剛:「5700万円!」
馬場長生:「5900万円!」
白川昼:「6100万円!」
……
価格は上昇を続け、まだ互いに競り合っている3人以外は、この時完全にオークションの観客と化していた。