第120章:学区物件の価値

司会者はステージに上がると、まずマイクを軽く叩いて機器をチェックし、すべてが正常であることを確認してから咳払いをして話し始めた。「本日の土地競売会にご来場いただき、ありがとうございます。この競売会は東京市役所が主催し、競売される土地は現在すべて政府の所有となっております。ご出席の皆様は東京の不動産業界の中核を担う方々ばかりです。皆様が本日何かしらの収穫を得られ、東京の発展に貢献していただけることを願っております。」

「本競売会は全過程において透明性を保ち、公開・公平・公正の原則に基づき、港区公証役場の公証人の立会いのもと、合法的かつ適正に実施されます。それでは、本日の競売会の開始を宣言いたします!」

言葉が終わると、会場の大スクリーンが明るく点灯し、広大な土地の空撮映像が映し出された。

「現在ご覧いただいているのが、本日の競売会の1番物件です」司会者は画面を見ながら参加者に説明した。「この土地は世田谷区に位置し、面積は1万2千平方メートル、開発可能面積が非常に大きいものとなっています。この土地は立地条件が優れており、大学附属小学校、鉄道中学、第三中学などの重点校に隣接しています。現在、市内で最大の未使用地となっており、開始価格は2,500万円、入札は300万円単位で行います。それでは競売を開始いたします!」

司会者の言葉が終わるや否や、不動産会社の代表が札を上げた。「2,800万円!」

「3,100万円!」

「3,400万円!」

……

競り合いは非常に激しく、この1番物件は1万2千平方メートルという使用可能面積だけでも参加者の注目を集めていた。このような広大な面積は、商業区域の建設でも住宅団地の建設でも十分な活用が可能だった。

白川昼は競り合いを聞きながら、馬場絵里菜の方を見て、小声で尋ねた。「社長、この物件はいかがですか?」

馬場絵里菜は腕を組んで椅子に寄りかかり、スクリーンの空撮映像を見つめたまま、しばらくしてから淡々と答えた。「欲しいわ。でも、もう少し待ちましょう」

この土地は馬場絵里菜の目から見れば、まさに無価値の宝だった。なぜなら、彼女は未来から転生してきた人物で、国内の不動産市場について10数年先を見通していたため、土地に開発価値があるかどうかを一目で見抜くことができたのだ。