その一声は、その場にいた全員を驚かせた。
馬場グループに立ち向かうとは?
全員が声のする方を振り返ると、馬場絵里菜が淡々とした表情で、口元に意味深な笑みを浮かべており、傍らの白川昼は大人しく手元の番号札を掲げていた。
この二人の組み合わせは実に奇妙で、さらに人々を困惑させたのは、白川昼も馬場絵里菜も、誰にとっても全くの見知らぬ顔だったことだ。
「この二人は誰だ?」
「見たことないな。あの男の格好は目立つから、見たことがあれば覚えているはずだ」
「さっきの値段を言ったのはあの若い女性だよね?」
「ふざけているとしか…」
私語が一斉に起こり、二人に向けられる視線は様々で、観察的なものもあれば好奇心に満ちたものもあった。
馬場長生も困惑した表情で後ろを振り返ったが、室内はビデオ上映のため照明が暗く、馬場絵里菜と白川昼は隅に座っていたため、前列に座っていた長生は二人の姿をはっきりと見ることができなかった。