第117話：いいよ、ママはあなたの言う通りにするわ

白川昼の言葉は少し大げさに聞こえたが、馬場絵里菜は彼が自分の前で大言壮語を吐くような人間ではないことを知っていた。

馬場絵里菜は白川昼を見つめ、そして宮原重樹を見つめ、最後に思わず深刻な声で言った。「お願いします。」

宮原重樹の目に一瞬の動揺が走り、慌てて口を開いた。「門主様、そのようなお言葉は。私たち捨仙十二衛は門主様のためなら、火の中水の中、何でも構いません。」

一方、白川昼は馬場絵里菜を見つめながら、心の中でため息をついた。なぜなら、捨仙門の門主である馬場絵里菜は、今でもその立場を完全に受け入れられていないことを知っていたからだ。さらに、門主である彼女が十二衛にとってどれほど神聖な存在であるかも理解していなかった。

彼女が必要とするなら、十二衛は彼女のためにいつでも命を捧げる覚悟があった。

「門主様、残りは私にお任せください。すべてを速やかに手配いたしますので、その時は母上様を直接病院に入院させていただければと。」白川昼はそう直接切り出した。

馬場絵里菜はそれを聞いて頷き、念を押すように言った。「できるだけ早くお願いします。」

白川昼は馬場絵里菜に安心させるような微笑みを向けた。「門主様、ご安心ください。私と宮原で必ずや、お母様を健康な状態でお返しいたします。」

家に帰ると、細田登美子は夕食を作り終えたところで、娘が帰ってきたのを見て、顔に笑みを浮かべながら声をかけた。「絵里菜、お帰り。手を洗って、ご飯にしましょう。」

病気が診断されて以来、細田登美子は馬場絵里菜の前で一度も弱みを見せたことがなかった。馬場絵里菜は母が強がっているのを知っていたからこそ、より一層心が痛み、胸が締め付けられた。

母は自分でこの全てを耐え忍ぶだけでなく、娘の気持ちまで考え、逆に自分を慰めようとしていた。馬場絵里菜はこんな役立たずの自分が嫌だった。しかし、この出来事は彼女にとってあまりにも大きな衝撃で、何事もなかったかのように振る舞うことはできなかった。

幸いにも、神様は再び希望を与えてくれた。彼女は白川昼を信じていたし、宮原重樹のことも信じていた。