土曜日、土地競売会。
東海不動産株式会社は設立されたばかりで、本来なら政府主催の土地競売に参加する資格はないはずだったが、白川昼は人脈が広く、会社のためにこのような貴重な枠を獲得することができた。
馬場絵里菜は自分の現在の実力では、人脈も資金も、短期間で会社を急成長させることはできないことをよく理解していた。しかし、白川昼の実力は計り知れず、馬場絵里菜が彼に任せた仕事は常に期待以上の成果を上げていた。
今や東海不動産は形を整え始め、重要なポストの管理職は全て白川昼が京都から招いた人材で、従業員も馬場絵里菜の提示した基準に従って採用が完了していた。
今日、馬場絵里菜はカジュアルな服装を着ていた。白川昼が買ってくれた大量の服の中でも比較的フォーマルなものだった。彼女の年齢でスーツを着るのは少し違和感があるからだ。
タクシーで会場の外に着くと、白川昼はすでにそこで待っていた。
「社長」白川昼は馬場絵里菜を見て、呼び方を変えた。
馬場絵里菜は目の前の市庁舎を見上げ、今回の競売会場が政府の敷地内に直接設けられていることに少し驚いた。
「遅れてない?」馬場絵里菜は尋ねた。
「いいえ、でももうすぐ始まります。中に入りましょう」白川昼はそう言って先に立って案内し、馬場絵里菜は服の裾を整えて急いで後を追った。
市庁舎のオークションホールという特殊性から、今回の土地競売会には余計な装飾はなく、ただ横断幕が一つ掛けられているだけで、入札会ではないためドリンクの用意もなかった。
しかし、それでよかった。土地競売に来ているのは各不動産会社の人々だが、誰も社交や飲酒のために来たわけではなく、むしろ目的がはっきりしている方が良かった。
ホールの外では係員が招待状をチェックしており、白川昼を見るとすぐに無表情で「招待状をお見せください」と言った。
白川昼はポケットから銀色のカードを取り出して差し出し、「Mグループ傘下の東海不動産です」と言った。
係員は招待状を受け取り、招待リストを素早く確認すると、確かに招待されていることを確認して、白川昼に番号札を渡した。「13番です。どうぞお入りください」
馬場絵里菜は白川昼の後ろについて歩きながら、小声で尋ねた。「ずっと聞く機会がなかったんだけど、こんな重要な競売会の招待状をどうやって手に入れたの?」