第128章:大出血だね、あなた

高橋桃は彼女の言葉に同意して頷いたが、普段の馬場絵里菜が昼食で肉団子一つすら注文を控えているのに、今回は林駆にこんな高価な万年筆を買ったことを思うと、彼女のことが心配になった。

「高かったでしょう?」高橋桃は眉をひそめて尋ねた。

馬場絵里菜は気軽に笑って答えた。「大丈夫よ、払える範囲だから。」

それを見て、高橋桃は心の中でため息をつくしかなかった。

先日のラブレター事件で、馬場絵里菜が林駆のことを好きだということは既に周知の事実となっていた。林駆は馬場絵里菜を断ったものの、高橋桃から見ると、馬場絵里菜の今回の行動は明らかにまだ林駆への気持ちが残っているようだった。

彼女は馬場絵里菜の行動が無駄だと思っているわけではなく、ただ彼女の気持ちが報われないことを心配していた。

しばらくすると、一台のリンカーンリムジンが二人の前に停車し、窓が下がると夏目沙耶香の顔が覗いた。「絵里菜ちゃん、桃ちゃん、早く乗って!」

窓越しに、馬場絵里菜は林駆、藤井空、高遠晴の三人も車内にいるのを見た。そして高遠晴の隣には柳澤夢子も座っていた。

二人は急いで車のドアを開けて乗り込み、夏目沙耶香の隣に座った。高橋桃は車内のインテリアを見回して、不思議そうに言った。「あれ?前に乗った車と違うみたいね。」

夏目沙耶香は笑いながら説明した。「前回乗ったのは藤井くんの家の車で、今日のは林駆くんの家の車よ。どちらもリンカーンリムジンだから、車種は同じだけど、内装が違うだけよ。」

高橋桃は納得したように頷いた。

車の座席の隅には数個のブランドの買い物袋が置かれていて、明らかに夏目沙耶香たちが林駆に贈る誕生日プレゼントだった。馬場絵里菜が乗車するとすぐに、夏目沙耶香は彼女の手にある袋に気づき、興味深そうに尋ねた。「あら、林駆くんへのプレゼント?」

もともと林駆へのプレゼントだったので、馬場絵里菜は遠慮せずに頷き、プレゼントを林駆に差し出した。「お誕生日おめでとう。私と桃からのちょっとした気持ちです。」

高橋桃はそれを聞いて驚き、慌てて手を振った。「違うわ違うわ、林駆くん、彼女の言うことを信じないで。このプレゼントは絵里菜が買ったもので、私は全然関係ないわ。私がプレゼントを買ってないから、わざとそう言ったのよ!」