高橋桃は彼女の言葉に同意して頷いたが、普段の馬場絵里菜が昼食で肉団子一つすら注文を控えているのに、今回は林駆にこんな高価な万年筆を買ったことを思うと、彼女のことが心配になった。
「高かったでしょう?」高橋桃は眉をひそめて尋ねた。
馬場絵里菜は気軽に笑って答えた。「大丈夫よ、払える範囲だから。」
それを見て、高橋桃は心の中でため息をつくしかなかった。
先日のラブレター事件で、馬場絵里菜が林駆のことを好きだということは既に周知の事実となっていた。林駆は馬場絵里菜を断ったものの、高橋桃から見ると、馬場絵里菜の今回の行動は明らかにまだ林駆への気持ちが残っているようだった。
彼女は馬場絵里菜の行動が無駄だと思っているわけではなく、ただ彼女の気持ちが報われないことを心配していた。