二人が談笑している間に、白川昼もその場に加わってきた。
豊田剛を一瞥すると、自ら手を差し出して「豊田会長、初めまして。東海不動産の白川昼と申します」と言った。
豊田剛はその言葉に一瞬表情を硬くしたが、白川昼と握手をすることを忘れなかった。ただ、驚いた様子で「私のことをご存知なのですか?」と尋ねた。
白川昼は眉を上げて頷き、笑いながら「私たち東海不動産は東京不動産業界に参入したばかりですので、当然しっかりと下調べをしております」と答えた。
豊田剛は納得した。目の前の白川昼は気品があり、若く見えて妖艶な容姿をしているものの、全身から上位者の威厳が漂っていた。彼と目を合わせると、自分でさえプレッシャーを感じるほどだった。
「豊田おじさん、私はこの後用事がありますので、これで失礼します。また電話で連絡させていただきます」と馬場絵里菜は淡々と言った。