鈴木由美は言葉を聞いて、思わず驚きの表情を浮かべ、顔には信じられない様子が浮かんでいた。
馬場依子の手から自分の手を引き抜き、二歩後ずさりしながら、彼女は困難な口調で言った。「あなた...どういう意味?まさか、林駆があなたに告白したの?」
この言葉を口にした鈴木由美自身も驚いた。そんなはずがない。二人が知り合ってまだ数日しか経っていないのに...
しかも林駆は高校1年生の女子たちの憧れの的で、追っかけの女子が多いのに、誰にも告白したことがなく、誰のことも好きになったことがなかった。
確かに馬場依子は美人だが、鈴木由美は心の底から林駆がそんなに早く彼女のことを好きになるとは信じられなかった。
しかし馬場依子は鈴木由美の言葉に肯定も否定もせず、むしろ困惑した表情を浮かべ、弱々しい目つきで鈴木由美を見つめた。「由美、私のことを怒らないで。林駆が私のことを好きになったのは、私にはどうしようもないことなの。」
馬場依子は委屈そうに、そして諦めたような様子で話した。まるでこの件は自分とは関係なく、林駆の一方的な想いであるかのように。
馬場依子が否定しないのを見て、鈴木由美は頭の中が「ガーン」となった。林駆は...本当に彼女に告白したのだ!
もう何も言いたくなかった。自分の好きな人と親友が付き合うことになった。プライドの高い鈴木由美にとって、このショックは耐えられるものではなかった。
その場で失望の眼差しで馬場依子を一瞥すると、鈴木由美は拳を握りしめ、きっぱりと背を向けて足早に立ち去った。一言も発することなく。
「由美...」
馬場依子はその場に立ち尽くし、鈴木由美の背中を見つめながら切迫した声で呼びかけたが、鈴木由美は振り向きもせず、すぐに廊下の奥へと消えていった。
しかし、次の瞬間、馬場依子の表情が一変した。先ほどまでの困惑した表情は一瞬にして消え失せ、代わりに目の奥に微かな冷笑を浮かべていた。
私と争うなんて、あなたに資格があるの?
馬場依子と林駆の件はすぐに学校中に広まった。馬場依子は美貌と際立った雰囲気で、転校初日から大きな話題を呼んでいたが、今度は高校1年生の人気者である林駆との爆弾的なニュースで、夏目グループの令嬢である夏目沙耶香の人気さえも凌ぎ、高校1年生の女子の中で最も注目を集める存在となった。